【食の世界史】甘くないバナナ革命~アフリカの食の歴史~

食べ物の歴史

バナナといえば、甘い!といったイメージの方が多いでしょう。

しかし、今回は甘くないバナナの話です。

海外の食文化に詳しい方はご存知だと思いますが、世界には甘くないバナナがあり、アフリカやアンデスあたりでは主食並みに食べられている地域もあるほどポピュラーな食べ物です。

この甘くないバナナは「プランテン」とも呼ばれます。

甘くないバナナ「プランテン」は、
実はアフリカで革命をおこしたという歴史があります。

この記事では、アフリカの農耕のはじまりとバナナ、プランテンの食べ方についてお伝えします。

バナナはアフリカ起源の作物ではない


アフリカを出発したホモ・サピエンスが世界中に拡散してのち、
今から8000年前頃は、温暖な気候で各地で湖沼の水位が数十メートルも上昇しました。
日本でも「縄文海進」と呼ばれる海面上昇が6500年前をピークにおこりましたね。

アフリカでもとくにニジェール川からナイル川にかけて豊富な水産資源があり、文化が花開きました。魚を煮炊きする土器を伴うので「煮魚革命」とも呼ばれます。

しかし、気候が乾燥化するにつれて、資源が限られてきたため、農耕をする必要がでてきました。

アフリカでの農耕は、5000年前には北緯5度以北の大半の地域で、すでに農耕が行われ、2000年前頃までの間に、南緯5度まで農耕文化が達したとされています。

※北緯5度~南緯5度にある国は、現在のコンゴ民主共和国、カメルーン、中央アフリカ共和国、南スーダン、エチオピア、ソマリア、ガボン、ウガンダ、ケニア、タンザニア、赤道ギニアのあたりです。

その農耕を広めたのが、現在のカメルーンとナイジェリアの国境当たりから出現したと考えられているバンツー語系の人々でした。バンツー語系の人々は現在もアフリカ大陸の3分の1を占める地域に住んでいます。

アフリカ起源の作物に、ソルガム、シコクビエ、トウジンビエ、テフ、グラベリマイネ、ギニアヤムがあります

バナナは東南アジア原産で、3000年前頃までに、インド洋またはアラビア半島経由でアフリカ大陸に伝わっていました

コンゴでのバナナ革命


アフリカの中央からやや南下した場所にあるコンゴ民主共和国。Googleマップで見ると一目瞭然ですが、現在も緑が多く熱帯雨林のある地域です。

コンゴには先ほど登場したバンツー語系の人々が現在も90%以上住んでいます。

このバンツー語系の人々が、バナナ革命の担い手でした。

バナナに出会う前、バンツー系住民の祖先は、雑穀や豆類、ヤムイモ、アブラヤシなどを育てていました。
彼らの移動により、コンゴ川周辺地域の森林地帯にも、焼畑農耕を行う居住者が住むようになりました。

ただ、深い森への進出は5世紀以降。バナナがもたらされてからだったのです。

プランテンバナナは、ヤムイモに必要な乾季の時期がなくてもよく、耕地にある樹木の3分の2程度をはらうだけで開墾できるので、手間も少なくてすみ、土地の地力の維持にもつながるという便利な作物です。

そりゃ作るしかないですね。
人々はバナナを積極的に育てました。

バナナは生産力が高く、自分たちで食べる量を上回ってとれたので、人口が劇的に増加し、農耕民の地位が確立していきました。

そして狩猟採集民や漁労民との交流がはじまりました。

農耕民のバナナ、漁労民の魚、狩猟民の肉といった交換をして人々は生活するようになりました。

それまでは、農耕民と狩猟採集民には、農耕のために狩猟採集民を追い出すなどの隔たりがありましたが、バナナの生産が交流をうみ、社会の変容をうみました

この一連の変容をバナナ革命という研究者もいます。

このバナナ革命による農耕社会の地位の確立は、15世紀以降のコンゴ、ルバ、ルンダのような王国を作り出す基礎ともなりました。

革命といえば、名誉革命とかフランス革命などといった大きな出来事がイメージされますので、「バナナ革命」・・え?それだけ?と思った方もいるでしょう。

ただ、社会変容として、後世にも繋がるような出来事であることは変わりないので歴史に優劣はないよな~という見方で読んでいただければ幸いです。

プランテンバナナの食べ方

甘くないバナナ?どんな味がするんだろう?気になりますよね。

プランテンバナナの食べ方として、世界的には油で揚げて食べることが多いです。
薄くスライスしてバナナチップスのように食べたり、大きめカットで揚げてホクホク食べたり。

またインドのケーララ州では蒸して食べたり、アメリカ南部ではあぶり焼きにして食べたり
ガーナではゆでたプランテンをシチューなどと共に食べたりします。

グアテマラではいったんすり潰して甘い豆を詰めて揚げた「レジェニートス・デ・プラタノ」というお菓子として食べられているそうです。

ここまで言っておいて、わたしも食べたことがないので、いつか挑戦します!

まとめ

この記事のまとめ
・甘くないバナナ「プランテン」は5世紀頃に東南アジアからアフリカへもたらされた
・アフリカの農耕のはじまりは赤道南北5度のあたりではじまり、雑穀が中心だった
・バンツー系の人々が、コンゴの熱帯雨林を開墾しバナナを育て、農産物の生産量が上がり、狩猟採集民との交流に繋がった。
・この一連の出来事を「バナナ革命」という

縄文ポシェットさん
縄文ポシェットさん

プランテンバナナ食べたらご報告しますね!

参考文献

アフリカの歴史の決定版といえば、こちらの本。新書とは思えない分厚さです!笑

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