【縄文時代の食べ物】実はすごい!土器の発明が変えた縄文人の生活とは?

食べ物の歴史
縄文ポシェットさん
縄文ポシェットさん

縄文時代といえば土器ってイメージがあるけど、土器って何がそんなにすごいの?

遮光器インコ
遮光器インコ

土器のすごいところのひとつは、食べ物を長時間煮炊きできることだよ。
いわば縄文土器は「鍋」ということになるね。

縄文ポシェットさん
縄文ポシェットさん

「鍋」か~。現代人はほとんどの家にあるものだよね。でも、煮炊きすることって何がすごいの?

遮光器インコ
遮光器インコ

旧石器時代の人びとは肉を焼くや蒸すかしかできなかったんだよね。
煮炊きができるってことは、硬い肉や植物をやわらかくしたり、毒になる成分をぬいたりできるので、食べられるものが格段に増えたんだ。

この記事では、土器が発明されたことによって、人びとの生活がどのように変わったかみていきます。

日本最古の土器

日本最古の土器は青森県の大平山元Ⅰ遺跡から出土しました。

1万6500年前の無文土器(模様がない土器)です。

この土器の内部に煮炊きのときについたと思われる煤やおこげのあとや土器の赤い変色が見つかり、何かを煮るのに使ったことがわかりました。

この土器では何を煮ていたのでしょうか?

ただ、当時はベーリングアレレード期という温暖な気候になる少し前なので、まだ寒冷で、植生は針葉樹。
つまりドングリやクリなどの木の実ができる堅果類はまだなく、植物性の食料はまだあまりなかった時期です。

ここでヒントとなるのが、東京にある前田耕地遺跡です。

この遺跡からは、住居跡と炉の跡がみつかり、炉からはサケのアゴの骨が発見されました。
このことから「魚油採取説」が導き出されます。サケを煮て浮いてくる油を採取し、調味料や燃料として使われたというものです。

縄文ポシェットさん
縄文ポシェットさん

魚油ってなに?

遮光器インコ
遮光器インコ

魚油とは、現代ではフィッシュオイルとも呼ばれ、ボトル入りやサプリメントになっているよ。DHAやEPAが豊富といわれています。(↓このようなものです)

話が少しそれましたが、以上のことなどから、サケが川を遡上する季節になると遺跡の場所にやってきて魚油を採取し、仕事が終わるとまた違う場所へ移っていったのでは?という説が有力です。

縄文時代草創期と呼ばれるこの頃の土器は、まだ人びとの生活を変えたという段階ではなく、より限定的な目的で利用されたため、大量に作られ使われる段階ではありませんでした。

縄文ポシェットさん
縄文ポシェットさん

ないんかーい!

遮光器インコ
遮光器インコ

まぁまぁそんなにあわてないで。
実は土器を作れるってこと自体がすごいことなんだから。

土器は誰が作ったの?

土器はおもに女性が作ったと考えられています。

ただし大型の土器の場合には複数の女性が関わっていたり、粘土素地の入手や土器を焼く工程などは男性が担っていた可能性もあります。

土器の製作拠点としては、粘土のとれる場所の近くであったと推測されていて、ほとんどが各地域や集落内で製作・消費されていました。

縄文ポシェットさん
縄文ポシェットさん

でもさ、土器って作るのかんたんなんでしょ?土器教室とかあるし。

遮光器インコ
遮光器インコ

ノンノン。土器をあなどっちゃいけないよ。

世界にも旧石器時代の土偶(ビーナス像)や動物像はあるんだけど、それが土器作りに応用されるようになるにはさらに試行錯誤が必要だったそうだよ。

ドングリ(堅果類)と土器

1万5000年前~1万4500年前ころになると、もっとも早く温暖化が進んだ九州南部では落葉広葉樹林が広がり、堅果類がとれるようになります。

ドングリには、タンニンを含む種類が多く、煮てから水にさらしたり、潰して粉にしてから水にさらしたりと、種類によってアク抜きの仕方が変わってきます。

またトチの実はサポニンやアロインを含むため、灰で煮てアルカリ処理しないと食べられないのでやはり土器を使った調理が必要でした。

クリやクルミは生や焼いても食べることはできますが、煮ることで調理の幅が広がります。

このように堅果類の利用が広がることによって、縄文時代の人びとは食事からより多くのエネルギーを得ることができるようになったのです。

縄文ポシェットさん
縄文ポシェットさん

たしかに。公園でドングリ拾って食べたら苦くて渋くて、食べられたもんじゃなかったよ・・。アク抜きが必要だったとは。。

遮光器インコ
遮光器インコ

食べたの・・!?たしかに、現代人もその辺に落ちているドングリのアク抜きをしたら食べられるだろうけれど・・。

おそろしい手間がかかるようなので、わたしはネットでドングリ粉を買いました。(笑)

※ドングリクッキーを作ってみた記事はこちら

メニューとしては堅果類からできたでんぷんをこねて、お団子状に丸めて煮たり、野草や肉、魚介類とあわせた鍋物風の料理も食べていたと考えられています。

これも土器がないとできない料理ですね。

遮光器インコ
遮光器インコ

土器によってドングリなどの堅果類のアク抜きができて、エネルギー効率のよいでん粉質の食べ物が多くとれるようになったんだね。

魚介類・肉類と土器

魚介類の食べ方

現代の漁師さんや釣り人と同じように、釣って焼いて食べる・・といった食べ方は以前よりおこなわれてはいたでしょうが、土器の発明により、魚介類でも調理の幅が広がります。

とくに小さな貝は生のままでは殻をあけるのは大変ですが、一気に土器でゆでると、口をひらくものもありますし、ゆで汁に溶け出したスープも貝のエキスが溶け出して美味しく食べられます。

遮光器インコ
遮光器インコ

アサリやしじみも加熱すると口をひらいてくれるし、小さなカニや魚のあらなども煮ることで食べやすくなるよね。

もちろんお肉も同じで、煮込むとやわらかくなるので、現代でいうジビエ鍋のようなものも食べていたでしょう。

さらに土器による煮沸によって、食中毒菌を殺菌・失活させることもできるので、冷蔵庫などなかった時代、食中毒のリスクを下げることにもつながったと考えられます。

縄文ポシェットさん
縄文ポシェットさん

食べ物が処理の手間も省けて、やわらかく食べやすくなって、栄養もとれて、食中毒にもなりにくくなる・・土器ってすごいなぁ

ハマ貝塚

縄文時代の中期には、ハマ貝塚といって貝層がほぼ貝殻だけで構成された特殊な貝塚が出現します。

縄文ポシェットさん
縄文ポシェットさん

あれれ?貝塚って、貝だけがあるんじゃないの?

遮光器インコ
遮光器インコ

そうだよね。貝塚っていうくらいだからそう思ってしまうけれど、貝塚はいわば「神聖なゴミ捨て場」といった感じで、土器や石器や骨なども出土することが多いんだよ。

ハマ貝塚は、集落から離れて当時の海岸線近くに形成されることが多く、火を使ったあとが存在することから、貝を煮て干し貝などの加工食品をつくる場であったと考えられています。

例えば中里貝塚の貝層はハマグリとマガキのみでできており、ハマグリは初夏、マガキはおそらく晩秋から春先にかけて採られていた、つまり年間2シーズンにわたって貝が採られていました。

また周辺集落の人びとだけでは食べきれない量の貝殻があり大規模であるため、内陸部の集落の人びとと交易をおこなっていたこと、近隣の複数の集落が関わっていたと考えられています。

例えば、中里貝塚近くの武蔵野台地上には中里貝塚とほぼ同時期の遺跡がいくつか存在しています。

遮光器インコ
遮光器インコ

ハマ貝塚では、土器を使って貝類を大量に煮て加工食品を作っていたんだね。

塩と土器

時代はくだりますが、縄文時代の後期から晩期にかけて、「製塩土器」と呼ばれる、薄手で文様が全くない粗製の土器が出現します。

この土器は、海水を煮沸して塩の結晶を得るためのもので、熱効率をよくして、大量生産・大量廃棄を前提として作られました。

縄文ポシェットさん
縄文ポシェットさん

ところで、塩ってどうやって作るの?

遮光器インコ
遮光器インコ

土器を使った塩の作り方は、海水を濃縮させてから、煮沸して粗塩を作り、それを焼いて固形塩にするといった工程があるよ。

塩作りがさかんだった地域は、茨城県霞ヶ浦沿岸部にはじまり、仙台湾周辺、陸奥湾周辺などに広がりました。

さらに茨城県広畑貝塚や法堂貝塚、宮城県の里浜貝塚からは、土器だけでなく、煎ごう炉(”せんごうろ”海水を煮詰める炉)の跡もみつかっています。

また遺構からは海藻に付着する小さな巻き貝がみつかることが多いので、海水を濃縮するのに海藻が用いられていた可能性も高いとされています。

生産された塩は、小型の製塩土器に入れられて内陸部にも運ばれました。

塩作りには、製塩土器作りから、塩作り、輸送などさまざまな集落が関わっていた、大きなネットワークがあったと考えられています。

遮光器インコ
遮光器インコ

塩作りには専用の製塩土器というものが作られ、製塩や流通に使われていたんだね。

まとめ

以上のように、土器が発明されたことによって、縄文時代の人びとの生活は変化していきました。

土器の発明によってできるようになったことは、たくさんあります。

①食べ物を煮ることによって、柔らかく食べやすくなった。
②有害物質や渋みや苦みを取り除くことができて、食べられるものの種類が圧倒的に増えた。
③とても小さい貝類や種子などを煮て食べたり、スープに溶け込んだうまみや栄養も余すところなく摂取できるようになった。
④食中毒のリスクが下がった。
⑤貝や塩などの加工品を作ることが出来て、交易がさかんになった。
⑥アスファルトや植物の繊維、漆や染料、顔料など食物以外の加工にも使われるようになり技術が発達した。

縄文ポシェットさん
縄文ポシェットさん

土器ってすごいんだなぁ~

遮光器インコ
遮光器インコ

お読みいただきありがとうございました!

参考文献

もっと詳しく知りたい!という方はこちら!

コメント

タイトルとURLをコピーしました