【生き方】人生の劇薬になりうる本~V.Eフランクル『夜と霧』~

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今、自分がまるで牢獄のなかにいるような閉塞感のなか生きている人もいるかもしれません。

それは、先の見えない社会かもれしれないし、地域のコミュニティかもしれないし、学校や会社かもしれない。義父母との同居している家かもしれない。

そんなときは、本当の牢獄で生きた人の話をきいてみるのもいいでしょう。

V.Eフランクル『夜と霧』

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この記事では、ある意味”劇薬”ともいえるこの本から、人生にむきあう勇気がもらえると思った言葉を紹介します。

『夜と霧』どんな本?

著者のV.Eフランクルは1905年にウィーンで生まれ、フロイトやアドラーの影響を受け精神科医となった人物です。
彼は、第二次世界大戦下で、ナチスによって強制収容所に送られました。

この本は、強制収容所での体験や人々の観察、考えたことなどが書かれており、痛ましい収容所の描写の中に、いかにして過酷な状況の中で、生き抜いてこれたか、自分を保ってこられたかなどの深い深い洞察がちりばめられている本です。

生きる勇気があふれる言葉たち

今の環境が不自由で四面楚歌に思えたときは

強制収容所にぶち込んでもその人から全てを奪うことができるか?

たったひとつ、与えられた環境でいかにふるまうか、という人間としての最後の自由だけは奪えない。

その状況下でいかに行動するかということは、自分で選び決められるということですね。人間はどんな態度をとるか行動するか、常に問われている存在なのです。
もちろんどうにかして環境を変える(脱獄する?)こともできますけれど。

やっぱり自然は偉大

移送される列車の小窓や過酷な労働の途中で見た太陽や美しい自然に魅了されたといった場面がありました。


どんなにボロボロになっていても、美しい自然や光景、芸術に魅了され、感動する本能が人間にはある。合理的ではないからと切り離さないほうがいいし、現代人ももっと自然や芸術に触れたらいいと思いました。

苦しむことは悪いことではない

苦しむことを抑圧したり安手のぎこちない楽観によってごまかすことで軽視し、高をくくることを拒否した。

涙を恥じることはない。涙は苦しむ勇気をもっていることの証だからだ。

人生は苦しむことには意味があり、苦しみ尽くすことが大事。苦しむこと、死ぬことも生きることの一部なのです。

苦しむことはたしかに不快なことです。でも悪いことではないので、苦しんでいる自分はダメではなく、向き合う勇気が大事ということですね。

暫定的存在とは?

強制収容所ではたいていの人が、今に見ていろ、わたしの真価を発揮できるときがくる、と信じていた。
けれども現実には、人間の真価は収容所生活でこそ発揮されたのだ。無気力にその日をやり過ごしたか、内面的な勝利を勝ち得たか。

現代でも自分のことをふわふわとした落ち着かない「暫定的存在」ととらえてしまうことがあるかもしれません。

「暫定的」とは「確定するまでの間、仮にそうしておく」といった意味があるので、モラトリアムだったり、失業中だったり、これが本当に自分のしたかったことなのか?という問いにさいなまれている人だったり・・地に足が付いていないようなそんな存在でしょう。

暫定的な人というのは、いつ終わるのか分からない、つまり見通しがもてないと感じてしまうと、未来を見据えて目的を持って生きることができなくなります。

私はかつて青い鳥症候群だったのではないか?と思っています。いつも「ここではない、どこかへ」行けば、私の真価が発揮されるのではと考えていたのです。今ここで目的を持って生きればよかったのに。

あくまで私の考えですが、人間は生まれてから死ぬまで、変化し続けるという意味で、暫定的存在であり続けるのかなとも思います。

生きることの意味についてのコペルニクス的転回

自分がわからなくなったり、苦しい状況に陥ってしまうと、人生の意味について考えてしまうことがあるかもしれません。

しかし、生きることの意味を問うのはやめよう、とフランクルは言っています。

生きることは日々、そして時々刻々問いかけてくる。わたしたちはその問いに答えを迫られている。考え込んだり言葉を弄することによってではなく、ひとえに行動によって、適切な態度によって、正しい答えは出される。

私たちが生きることの意味を問うのではなく、生きることの方が私たちに問いを投げかけているという逆転のことを、「コペルニクス的転回」だというのです。

ともすれば、生きることや自分の存在って何か意味があるんだろうか?と考えてしまうこともあるでしょう。しかし、そのようなときにこそ「生きること、人生は私に何を求めているのか?どのように行動するか?」と考え、実行にうつすことが大切なのではないかと私は解釈しました。

まとめ

強制収容所の生活と現代に生きるわたしたちの問題を安易にスライドして考えることはできませんし、してはいけないとも思います。

ですが、彼の力強い言葉から学び、自分のなかに落とし込んで行動に繋げることはできます

私自身、この本について書くことはおこがましいのではないか?という思いもあります。

ただ、戦争については同じ人類として知っておくべきことですし、極限状態で絞り出された人生論は、心の奥深いところを突き刺すパワーが半端なくあります。

中学のときに第二次世界大戦のビデオを2時間見るという授業のときはずっと耳を塞いで机に伏しているほど、戦争の話が苦手な私でしたが、勇気を出して読んでみて本当によかったと思ったので記事にしました。
(読んで数日メンタル不調になるという後日談はありましたが。笑)

歴史を学ぶことは、時間と空間をぐんとひろげてくれるので、閉塞感の打破にも繋がりますね。

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